妊娠初期症状

2017/01/04

妊娠初期症状を徹底解説。便秘や吐き気、頭痛に肌荒れ、それぞれの症状と乗り切り方について

この記事の監修/執筆

産婦人科専門医/女医+(じょいぷらす)今井 愛

妊娠初期症状を徹底解説。便秘や吐き気、頭痛に肌荒れ、それぞれの症状と乗り切り方について

女性の身体は、妊娠することで様々な変化が起こります。外見の変化はもちろんですが、身体の中でも大きな変化が起こっています。特に、妊娠の初期・超初期は、ホルモンの急激な変化等により健康面やメンタル面に不調が起こることも少なくありません。これらは、妊娠初期症状と呼ばれ、多くの妊婦さんが経験しています。

妊娠初期っていつからいつまで?

・妊娠超初期とはどの時期?

妊娠超初期とは、妊娠0~4週までを指します。妊娠週数は、前回の生理開始日を妊娠0週0日として数えるため、次回の生理予定日は妊娠4週です。この時期に現れる症状を「妊娠超初期症状」と言います。妊娠超初期症状の現れ方には個人差があるため、妊娠を決定づける明確な基準は存在しません。

・妊娠初期とはどの時期?

妊娠初期とは、妊娠0~14週までを指します。この時期には、胎児を守るために女性ホルモンの分泌が活発化し、少しずつ子宮が膨張し始めます。

・妊娠初期症状はいつからいつまであるの?

妊娠初期症状は、早い場合で妊娠4週頃から現れ始めます。妊娠4週頃は生理予定日であるため、生理が遅れて妊娠を疑い始める時期です。生理前と妊娠初期に現れる症状は似ているため、疑わない方もいます。妊娠初期では、胎児と母親の身体が変化するため、つわりや倦怠感等の「妊娠初期症状」が現れます。

妊娠16週頃頃にはつわりが落ち着くことが多いです。しかし、個人差があるため出産まで症状が治まらないこともあります。また、妊娠初期にはつわりが現れず妊娠後期に現れ始めたり、一旦治まって再び現れたりすることもあります。これを「後期つわり」と言い、大きくなった子宮に消化器官が圧迫されることが原因で起こります。

妊娠初期に起こるホルモンの変化

・女性ホルモンの役割

ホルモンとは、代謝や神経伝達等に関わる物質で、女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンがあります。これらは、一定の周期で分泌量が変動して約28日間の月経周期を作っています。卵胞ホルモンには、卵巣内にある卵胞を成熟させて、排卵と受精が出来る状態に整える役割があります。また、受精後には受精卵を着床しやすくするために、子宮内膜を厚くするよう働きます。自律神経のバランスの調整、血流を促進して潤いと張りのある肌を作る等、女性に嬉しい作用もあります。

黄体ホルモンには、厚くなった子宮内膜を維持したり、胎児に栄養を補給出来るように体内の栄養や水分を蓄えたりする等、妊娠の継続をサポートする役割があります。また、粘着性の高いおりものを分泌して、細菌が膣内に侵入するのを防ぐ働きもあります。肌トラブルや腰痛、便秘や胸の張り、情緒不安定等を引き起こす原因でもあり、妊娠初期症状に大きく関係しています。

・妊娠による女性ホルモンの変化

排卵日の前付近から卵胞ホルモンの分泌量が減り始め、排卵後からは黄体ホルモンの分泌量が増えます。妊娠していない状態では、生理に向けて黄体ホルモンが減っていきますが、妊娠している場合は分泌量が維持されます。黄体ホルモンが増えると体温が上昇するため、妊娠超初期症状として火照りを感じることがあります。

妊娠初期症状(1)吐き気・つわり

・どういう状態になるの?

妊娠5週頃から、妊娠初期症状である胃のむかつきや食欲不振、吐き気や嘔吐等の症状が現れ始める方もいます。つわりの原因は解明されていませんが、妊娠検査薬で調べるヒト絨毛性ゴナドトロピンが脳の嘔吐中枢を刺激するために、つわりが起こるとの見解があります。また、母親になることや、胎児の存在に対する不安感等の精神的ストレスがつわりを引き起こすとも考えられています。

・つらい妊娠初期の吐き気・つわりの乗り切り方

つわりで食事を摂れないために、胎児に栄養を送れないと不安に感じる方もいるかもしれませんが、この時期は胎盤からではなく受精卵から作られる卵黄嚢から栄養が供給されるため、母親が摂取した栄養はほとんど関係していません。つわりが酷い場合は、栄養を摂れる時に出来る限り摂ることが基本です。ビスケット等、食べやすい物をストックしておき、深夜でも摂ることが大切です。しかし、水分の摂取量が少ない状態が続く場合は点滴を受ける等の処置が必要です。

妊娠初期症状(2)胸が痛む・張る

・どういう状態になるの?

胸の張りや痛みは生理前にも起こりますが、妊娠初期症状の一つでもあります。生理前に起こる胸の症状は、早くて生理開始の約2週間前から現れますが、生理開始予定日から数日~1週間以上過ぎても症状が続く場合は妊娠が疑われます。胸の張りや痛みは、妊娠に伴う女性ホルモンの急激な増加による乳腺組織や乳管の発達が関係していると言われています。

・つらい妊娠初期の胸の痛み・張りの乗り切り方

胸を締め付けると痛みが強くなるので、サイズが大きいブラジャーやマタニティブラを着用しましょう。タイトな服ではなく、ワンピース等胸周りに余裕がある服を着ることをお勧めします。また、胸を温めることも痛みの憎悪に繋がるので、入浴はシャワーで済ませましょう。痛みが強い場合は、濡れタオル等で冷やすと一時的に痛みが緩和されます。

妊娠初期症状(3)頭痛

・どういう状態になるの?

脈打つような偏頭痛が起こる場合があります。強い痛みにより、行動力が低下したり嘔吐したりすることもあります。妊娠に伴って増加する黄体ホルモンには、血管を拡張して血流を促進させる働きがあります。拡張した血管は周囲の神経を圧迫するため、脈打つように頭痛が起こります。

・つらい妊娠初期の頭痛の乗り切り方

血管を収縮させるために、冷たいタオルを後頭部やこめかみ等、痛む箇所に当てましょう。また、偏頭痛が起きていると、動くと痛みが憎悪したり光や音に過敏になるので、部屋を暗くして安静に過ごすことも大切です。身体の凝りが原因の頭痛の場合は入浴やストレッチ等で身体を温めると改善します。我慢出来ない程に痛む場合は、妊娠の可能性を伝えて診察してもらいましょう。妊娠中でも服用出来る漢方薬や鎮痛剤等を処方される場合があります。妊娠中は貧血を起こしやすいため、貧血から来る頭痛の可能性もあります。普段から貧血気味の方も病院で診察してもらうことをお勧めします。

妊娠初期症状(4)下痢

・どういう状態になるの?

妊娠初期症状として、下痢になる場合もあります。これは、つわりにより食事量が減少することで栄養バランスが偏って、腸の機能が低下するためです。そのため、つわりが治まれば下痢も治まると考えられます。

・つらい妊娠初期の下痢の乗り切り方

強い腹痛や水のような下痢が続く場合は病院で診察を受けましょう。そこまで酷くない場合は、安静にして様子を見ても大丈夫なことが多いです。このような症状に悩まされてストレスが溜まると自律神経が乱れるので、リラックスして過ごすことが大切です。また、身体を冷やさないように、自分の体温よりも温かい飲食物を摂ることをお勧めします。同時に、腹部を冷やさないために暖かい服を身に付けて、夏場には冷房を強くかけすぎないよう注意しましょう。あまりにも長く下痢が続く場合は、ストレスを溜めないためにも一度病院で診察してもらうことをお勧めします。

妊娠初期症状(5)腰痛

・どういう状態になるの?

妊娠後は、すぐに卵巣ホルモンのリラキシンが分泌され始めます。リラキシンには、出産に向けて骨盤を少しずつ開かせるために、骨盤周りの靭帯を緩ませる働きがあります。その結果、骨盤が不安定な状態になり、これを支える骨盤や腰周りの筋肉に負荷がかかって腰痛が起こります。更に、骨盤以外の部位で身体を支えようとするため、背中や足の付け根等にも負荷がかかり痛みが現れる場合があります。また、月経前にも同じような痛みが現れる場合もあるので、腰痛だけで妊娠を強く疑うことは出来ません。

・つらい妊娠初期の腰痛の乗り切り方

腰痛で運動量が低下すると、血流が悪化して筋肉が固まります。入浴や軽めの運動、緩めの腹巻の着用等で腰周りを温めましょう。また、妊娠初期でも使える腰痛ベルトや骨盤ベルトの装着も効果的です。普段から継続的に運動をしている場合は骨盤を支える筋力が強いため、腰痛になりにくいと言われています。しかし、妊娠初期に激しい運動をすると流産に繋がることもあるので注意が必要です。

妊娠初期症状(6)異様な眠気

・どういう状態になるの?

妊娠初期には、強い眠気を感じることがあります。これは、排卵後に増加する黄体ホルモンにより、体温が上昇したり身体がむくんだりすることで引き起こされると考えられています。

・つらい妊娠初期の眠気の乗り切り方

強い眠気を覚ますためには、冷たい水で顔を洗うのが効果的です。メイクをしていない時にしか出来ませんが、しっかりと目を覚ますことが出来るでしょう。また、立ち上がって屈伸運動をしたり肩を回したりするだけでも目が覚めます。可能であれば、10分程度散歩をするのも良いでしょう。眠気を解消する効果があると言われる「中衝(ちゅうしょう)」というツボを押すのも効果的です。 中衝は、中指の爪の生え際付近の親指側にあります。また、耳を摘んで引っ張ったり、手で揉み込んだりするだけでもすっきりとします。顎を動かすのも眠気を覚ますのに効果的なので、ガムを噛むと良いでしょう。これらの対策をしても眠気が覚めない場合は、10分程度の仮眠を取ることをお勧めします。

妊娠初期症状(7)便秘

・どういう状態になるの?

妊娠中は、便秘になったり、下痢と便秘を繰り返したりすることがあります。これは、黄体ホルモンが腸内の消化物を肛門へと送る平滑筋の収縮を抑えることで、腸の蠕動運動が減少するためです。また、黄体ホルモンの体内に水分を蓄えようとする働きによって、便の水分量が減少することも原因の一つです。他にも、大きくなった子宮が腸を圧迫することによる腸の機能の低下や、ストレスによる自律神経の乱れ等が原因として挙げられます。

・つらい妊娠初期の便秘の乗り切り方

食物繊維を多く含むゴボウやセロリ、サツマイモ等を摂り、規則正しい排便を習慣づけましょう。起床後は水や牛乳等を飲み、胃腸を活発化させて排便を促します。また、水分を積極的に摂取することも大切です。運動は、腸の蠕動運動を促したり自律神経を整えたりする効果があるので、医師に相談して最適な頻度と強度の運動を行いましょう。

妊娠初期症状(8)微熱

・どういう状態になるの?

黄体ホルモンの増加に伴い、37度前後の高温期が続きます。生理予定日を過ぎても微熱が続く場合は妊娠が疑われます。また、妊娠15~20週頃には高温期が終わることが多いようです。

・つらい妊娠初期の微熱の乗り切り方

37.5度以上の発熱は風邪等の感染症の疑いがあります。発熱は様々な病気で起こるため、安易に自己判断してはいけません。病気の種類によっては薬を処方されますが、胎児に悪影響を及ぼす薬もあるため、医師や薬剤師の指示に従って適切に服用することが大切です。また、38度を超えると胎児の脈拍が速くなりますが、2~3日程度で熱が下がれば問題は起こらないと言われています。

妊娠初期症状(9)肌荒れ

・どういう状態になるの?

黄体ホルモンの働きによって便秘が続くようになると、皮膚の水分量が減少して乾燥しやすくなります。また、つわりによる水分の摂取不足も原因の一つです。軽度のアトピー性皮膚炎が悪化して、肌荒れを起こしやすくなる場合もあります。これは、胎児を異物と認識して排除しないように、母体の免疫状態が変化することで起こります。また、アトピー性皮膚炎の治療薬による胎児への影響を心配して、服用や塗布をやめることも悪化の原因の一つです。

・つらい妊娠初期の肌荒れの乗り切り方

刺激の弱い敏感肌用のシャンプーや石鹸、化粧品等を使用しましょう。また、肌の代謝を高めるために、水分やミネラル、ビタミン等を積極的に摂ることも大切です。しかし、症状が強い場合や肌荒れが原因でストレスを感じている場合は、医師に相談することをお勧めします。ストレスが溜まると自律神経が乱れて、便秘や下痢等の様々な症状を引き起こします。

妊娠初期症状(10)情緒不安定

・どういう状態になるの?

マタニティブルーという言葉があるように、妊娠中はホルモンバランスが崩れることで精神的に不安的になりやすいものです。便秘や下痢、つわり等の症状が重なることでストレスが溜まり、感情をコントロール出来なくなったり涙脆くなったりします。そのため、妊娠中はパニック障害を起こしやすいと言われています。元からパニック障害を起こしている方は、妊娠の喜びによってパニック障害が改善することもありますが、悪化することの方が多いと言われています。

・つらい妊娠初期の情緒不安定の乗り切り方

軽い症状であれば、負の感情を受け流すようにするだけで良いでしょう。しかし、重い症状の場合は医師に相談することをお勧めします。情緒不安定な状態はストレスが溜まるため、胎児に対して良いこととは言えません。薬を服用することで、精神状態を改善出来る可能性があります。しかし、薬は胎盤を通して胎児に届くため、出来るだけ飲まない方が良いと言われています。妊娠中に飲んではいけない薬と少量であれば飲んでもよい薬があるので、医師に相談する際には必ず妊娠していることを伝えましょう。

生理痛と似た妊娠初期症状

・生理痛と間違いやすい妊娠初期症状

妊娠初期には、生理痛と似た腹痛が起こる場合があります。これは、胎芽の成長と共に子宮が引き伸ばされ、収縮することで起こります。また、子宮を支える靭帯が引き伸ばされることで痛みが現れる場合もあります。また、ホルモンバランスの乱れや子宮がホルモンの影響を受けやすくなることで、腹痛や張りを感じることもあります。妊娠初期で起こるお腹の張りは、胃腸が不調な時の痛みに似ているため、お腹の張りを腹痛と感じやすいと言われています。一時的な痛みは心配ありませんが、長く続く場合は病気の可能性もあるので病院で診察してもらいましょう。

・生理痛と妊娠初期症状を見分けるには

妊娠初期症状の痛みの現れ方には個人差があり、恥骨の痛みやチクチクとした痛み等を感じる場合があります。生理予定日を過ぎても生理が来ていない状態で腹痛が起きた場合は、妊娠初期症状の可能性があります。また、生理予定日前でも生理が来ていない状態で腹痛が起きた場合も妊娠が疑われます。生理予定日の1週間前は受精卵が子宮内膜に着床する時期で、着床痛を感じることがあるという方もいますが、医学的にはそのような痛みは現れないとされています。

検査薬で陰性なのに妊娠初期症状がある?

・検査薬の使い方が正しくない

妊娠検査薬は生理予定日の約1週間後から使用可能であるため、それよりも早く検査をして陰性判定であっても、正しいタイミングで使用すると陽性判定が出る場合があります。これは、妊娠した場合に分泌されるヒト絨毛性腺刺激ホルモンの尿中の濃度が一定量にならなければ、妊娠を判定出来ないためです。妊娠検査薬は、尿の採取部分に尿をかけるか、コップに入った尿に浸しましょう。そのまま数分待つと妊娠の有無を確認出来ます。

・生理痛もしくはPMS

妊娠検査薬を正しく使用して陰性の判定だったにも関わらず妊娠初期症状と似た症状が現れている場合は、生理痛かPMSの可能性が高いです。受精に成功すると高温期が続くため、妊娠していない場合は生理予定日付近で体温が下がります。生理が来ていない場合、高温期が3週間以上続いていると妊娠が疑われます。

・想像妊娠

想像妊娠は、妊娠していないのに妊娠初期症状が現れる心身の障害です。日本ではエコー検査によって妊娠の有無を確認出来るため早期に想像妊娠が発覚しますが、海外ではエコー検査を行わない国もあるため、出産段階まで続くこともあります。想像妊娠の場合はヒト絨毛性性腺刺激ホルモンが分泌されないため、妊娠検査薬では陰性判定になります。極めて稀に陽性判定が出て病院で診察してもらうと妊娠していなかったということがあります。これは、着床が継続出来ず妊娠に至らない化学流産だと考えられます。

陽性なのに妊娠初期症状がない

・妊娠初期症状の現れ方には個人差がある

妊娠検査薬で陽性判定が出たにも関わらず妊娠初期症状が現れない場合があります。妊娠初期症状の現れ方には個人差があります。半数以上の妊婦はつわりを経験すると言われていますが、残りの妊婦はつわりを経験していないということです。妊娠初期症状が現れないことに対して不安が募り、ストレスが溜まるのであれば、早めに病院で妊娠の確定診断を受けましょう。確定診断後にも妊娠初期症状が現れないために、胎児が無事に成長しているか不安な場合は、エコー検査や内診を受ける頻度を多くすると良いでしょう。


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