流産

2017/03/06

あまり知らない「不育症」について、専門家が詳しく解説

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

あまり知らない「不育症」について、専門家が詳しく解説

妊娠・出産年齢の高齢化によって、「不妊症」という言葉を耳にする機会は増えてきました。
一方で、「不育症」という言葉については、初めて聞く方もいるかもしれません。
今回は、不育症について、詳しく解説いたします。

不育症ってどういうもの?

妊娠したにもかかわらず、流産をくりかえしてしまうことを「不育症」といいます。
「不育症」は正式な専門用語ではなく、流産の回数などについても統一した概念があるわけではありませんが、ある研究では、流産を3回以上繰り返す「習慣流産」、
および2回以上繰り返す「反復流産」に加えて、死産や早期の新生児死亡をくりかえすものを含めて、「不育症」と定義しています。

では、そもそも流産とはどのようなことを指すのでしょうか?
日本婦人科学会は「流産」を「妊娠22週未満の胎児が母胎から取り出されること」と定義しています。
さらに、流産は早期と後期にわけられています。

早期流産

妊娠12週未満の流産。流産のうち、およそ90%が早期流産

後期流産

妊娠12週以降22週未満の流産また、
妊娠22週以降の胎児が死亡した状態で出産される場合は、 死産にあたると考えられています。

ここでひとつ気をつけたいのが、「生化学的妊娠」による流産に関しては、
不育症には入らないということです。
生化学的妊娠とは、妊娠検査薬で「陽性」反応が出たにもかかわらず、
病院で妊娠が確認される前に流産をしてしまうことをいいます。

巷では「化学流産」などとも呼ばれているようですが、
正式には「生化学的妊娠」という名前がつけられています。
この生化学的妊娠は、正式な妊娠ではないため、
不育症の概念には含まれていません。

問題がなくても流産してしまうことも

流産の原因はいくつかありますが、
その多くは胎児に偶然起こった染色体異常といわれています。
「流産は稀なこと」と思っている方もいるかもしれませんが、
実は不育症でなかったとしても、1回の妊娠で15~20%ほどは流産する確率があるのです。

これは、両親に異常がなかったとしても、染色体異常が起こることがあるからです。
そのため、流産を1回経験したからといって、即不育症ということにはなりません。
では、どのような原因があると、不育症になるのでしょうか?

不育症になるのはなぜ?

流産を2~3回くり返す場合は、まずは病院で検査が行われます。
血液検査や超音波検査などの基本的な検査のほか、
MRI検査や卵管造影検査などが行われることもあり、
これらの検査を通して、原因を探っていきます。

不育症の原因としては次のことが考えられます。
治療法もあわせてみていきましょう。

夫婦の染色体異常(偶発的なものを除く)

先ほど説明したような偶発的な染色体異常による流産を1度経験するだけでは、
不育症とは呼びません。

ところが、何度も流産をくりかえす場合には、偶発的な染色体異常ではなく、
夫婦のどちらか(もしくは両方)の精子や卵子に染色体異常が起きていることが考えられます。

・治療法

染色体異常であることが判明した場合には、根本的な治療法はありません。
ただ、着床前診断を行うこともあるようです。
着床前診断は、体外受精をするときに行われるもので、
体外受精した受精卵を女性の身体に戻す前に染色体検査を行い、
異常がないか確認する検査です。
これを行うことで、流産のリスクを下げることを目指します。

子宮の形態異常

子宮の形に異常がある場合、胎児が育つことができず、流産や早産をくりかえす原因となります。
また、受精卵が着床する妨げになることもあります。

・治療法

子宮の形態異常が見つかった場合は、タイプによって手術療法が行われることもありますし、
そのまま経過観察をすることもあります。

内分泌の異常

内分泌とは、いわゆるホルモンのこと指します。
ホルモンの分泌に異常がある場合にも、流産をくりかえす可能性があります。

たとえば、甲状腺機能障害、糖尿病などです。
ホルモンの異常が染色体の異常を引き起こし、
流産をくりかえす原因になっているという報告があります。

・治療法

内分泌の異常の場合には、根本的な病気の治療が行われます。

血液の凝固異常

全身の血液が固まりやすくなる病気(例:抗リン脂質抗体症候群)などがあると、
血液が固まって血管を詰まらせる血栓症が起こりやすくなります。
とくに、骨盤まわりに血栓ができると、血流が悪化して、
流産や死産のリスクが高くなるといわれています。

・治療法

抗血栓療法として、薬物療法が行われることがあります。
このように、検査によって不育症ということが分かった場合には、
原因にあわせてその後の方針が考えられます。

妊娠できたとしても流産を2回以上くり返している場合は、
一度病院で不育症の検査を受けてみましょう。

<執筆者・監修者プロフィール>

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー)

医療監修:株式会社 とらうべ(医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供)

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