産後の心の悩み・ストレス

2015/04/06

母にとっての産後の生活は、○○に似ています。

この記事の監修/執筆

産後出張ケアセラピスト熊野 薫

母にとっての産後の生活は、○○に似ています。

想像してください。

あなたが、雪山に登るとします。
(雪山なんて登りたくない、登らない、という選択肢は、一旦ないことにしましょう。)

雪山登山は、あなたにとって初めての経験です。

ここ8か月、9か月くらい、ガイドブックを読み、ひと通りの装備を備えましたが、経験はありません。
初めてだけれど、登るしかない、と腹をくくったあなた。

そこにある人が来て、こう言います。

「私を、一緒に連れて雪山に登ってください。
  私は、食べ物も飲み物も持っていません。毛布も、テントも持っていません。
  全てを、あなたから分けてもらいます。
  私は、あなたがいなければ何もできない存在です。
  でも、私を、途中で死なせてはなりません。

  もしも死なせたり、雪山においてきたりしたら、あなたの行為は新聞やテレビで書き立てられます。

  あなたは一生、家族や親戚、そして世間の全く知らない人からも、白い目で見られ、責められることになるでしょう。

  もちろん、この場に私を置いて、雪山に登ることもできませんし、雪山に登らないという選択肢もありません。

  では、行きましょう。

  あ、この雪山の頂上は、数年立たないと見えてきません」

こんな状況、あなたならどうしますか?

そんなバカな!と怒る?
ひどい、と泣く?
なぜここに来てしまったのかと後悔しますか?

こんにちは。妊婦さん、産後ママのための出張リフレクソロジー~みまもりリフレ~代表の熊野です。 私は、これまでに数百人の産前産後ママとお会いして、ケアをしたり、お悩みを聞かせていただいたりしています。

実はこれ、産後の女性の状況をリアルに想像できない人に、どう伝えたら産後の辛さ、厳しさを理解してもらえるかな、と考えて思いついたたとえなのです。

産後って、自分より明らかに体力のない、また意思疎通もできず自立もできない人を抱えて、過酷な状況の中を過ごす、という時期です。

特に一人目の産後は、自分自身もわからないこと、初めて体験することだらけ。
地図になる育児書を読んでいても、育児はそこに書かれているとおりには進みません。

なんの装備も、言葉も持たない同伴者が常に自分のそばにいる状態。

しかも、自分以外にその人を守ってくれる人がいないような時間がたくさんあります。
うっかり自分が眠り込んでしまったら、その人が死んでしまうかもしれない。
目を離したら、どこかから落ちてしまうかもしれない。
自分がどんなにお腹が空いていても、「おなかがすいた」と泣くその人に、まずは食べ物を与えなくてはならない。

もうイヤだ、と思っても、一人にしておいては、確実にその人は生き延びられない。

一生懸命頑張って、精一杯努力しても、何かの原因で突然その人が病気になったり、怪我をしたり、死んでしまうことすらある。

そんな緊張の連続の毎日を、1年、2年と続けるのが産後なのです。
(頂上、つまり、すこーし子育てが楽になったかな、と思えるのは、赤ちゃんが言葉を話すようになった時のご家庭もあれば、数年間全く思えない場合もあります)

だからぜひ、周りの人達は、「シェルパ」になってあげてください。

そう、雪山や高い山を登るときに、荷物を持ったり、地図を広げたりとサポートをしてくれる、あのシェルパ、です。

本当のシェルパと違うのは、その山に登った経験がなくてもいいということ。

一緒に地図を広げて、こんなルートもあるね、こっちから頂上をめざしてみようか、と話をしてください。

荷物を持ったり、時に交代でテントの中で眠ったり、食べ物をわけてあげたりしてください。

どう生き延びるか、に必死になっている二人に、時には雪山の空気の気持ちよさを、雪の下に息吹く植物の力強さをほら見てごらん、と教えてあげてください。

頂上を目指して、息切れしそうな二人に、振り返ってごらん、あなた達の歩いてきた道はこんなに長く、険しかったんだよ。でも、歩いてこれたんだよ、と笑顔で伝えてあげてください。

私達、プロの産後ケアスタッフも、そんなシェルパでありたいと思っています。




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