子どもは大人に比べ消化機能が未発達なため、腹痛を生じることが多いです。しかし、子どもが激しく泣いて痛がる程の腹痛は急性腹膜炎を引き起こしている場合があるため、早急な治療が必要です。今回は、子どもの急性腹膜炎について解説します。
急性腹膜炎とは?
横隔膜より下に位置する腹部内臓を包む空間のことを、腹腔といいます。腹腔内を覆う膜は腹膜と呼ばれており、通常は無菌状態に保たれています。しかし、腹膜に細菌が感染したり物理的・化学的な刺激が加わることで炎症が起こると腹膜炎になります。腹膜炎は、それまでに至る経過の違いで急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分けられます。子どもの腹膜炎で慢性腹膜炎が生じることは稀で、ほとんどが急性腹膜炎です。
さらに急性腹膜炎は、急性汎発性腹膜炎と限局性腹膜炎に分けられます。
(1)急性汎発性腹膜炎
急性腹膜炎のうち、炎症が腹膜全体に広がっているもの
(2急性限局性腹膜炎
急性腹膜炎のうち、炎症が腹膜の一部にだけ生じているもの
急性腹膜炎の原因
急性腹膜炎の原因として特に多いのは、急性虫垂炎の進行です。急性虫垂炎はいわゆる盲腸のことです。急性虫垂炎は盲腸に垂れ下がるように存在している虫垂が化膿する病気ですが、放置すると盲腸にも炎症が広がるため盲腸ともいわれています。急性腹膜炎は更に症状が進み、腹膜にも炎症が拡がった状態です。
急性虫垂炎の他、以下の病気や症状も原因として挙げられます。
◆急性胆嚢炎
◆急性膵炎
◆消化管疾患
消化管疾患は交通事故などでけがを負ったことで消化管に穴が開き、酸性の消化液がこぼれることで腹膜炎につながります。また、乳幼児の原因には先天性の腸管障害もあります。これは胎便性腹膜炎と呼ばれる症状で、胎内にいるときに腸管で処理しきれなかった老廃物がお腹の中に漏れ出ることで炎症が起こる病気です。
子どもが激しく泣く場合は病院へ
急性腹膜炎の特徴は、激しい腹痛です。腹痛と共に嘔気や嘔吐、発熱が現れることもあります。腹痛の前兆として下腹部の違和感や軽い痛みが生じる場合もありますが、特に激しく泣いて痛がる場合は症状がかなり進行していることが考えられます。お子様が泣いて痛がる場合は、すぐにかかりつけの病院を受診してください。