正常な新生児にも発症する、自然気胸

肺に何らかの原因で穴が開き、肺から空気が漏れ出た状態を気胸と呼びます。気胸は新生児を含めて子どもにも見られる病気です。今回は、自然気胸とはどんな病気なのか、そのメカニズムや種類について解説します。

気胸ってどんな病気?

肺の内部には太い気管支からさらに細い気管支に分岐し、その先に空気の交換を行う肺胞が葡萄の実のようにたくさんついています。これらの気管支や肺胞を肺胸膜が覆い、肺胸膜をさらに外側から壁側胸膜が覆っています。さらに壁側胸膜の外側には肋骨が並んでおり、肺は2つの大きな膜と肋骨によって頑丈に守られています。

気胸という病気は、何らかの原因によって一番内側の膜である肺胸膜が破れ、空気が肺胞から漏れ出てしまいます。壁側胸膜と肺胸膜の間に空気が溜まると壁側胸膜の外側は肋骨でガードされているため、肺は膨らむ事ができずに溜まった空気が徐々に肺を内側へと押して圧迫します。気胸が生じた肺をレントゲン撮影すると、肺が空気に押されて小さくなっていることが確認できます。

気胸の種類

気胸には、原因に応じていくつか種類が存在します。気胸の代表的なものとして、「(特発性)自然気胸」「続発性気胸」「外傷性気胸」「月経随伴性気胸」「新生児の自然気胸(=空気漏出症候群)」などがあげられます。

特発性自然気胸
明らかな原因は特定されず、急に生じた気胸を指します。10代後半から30代前半の若い男性に多く見られる気胸です。特に痩せ型で胸が薄い男性が罹患しやすいといわれています。自然気胸は新生児にも見られますが、新生児では少し症状が異なるため、次の項で詳しく解説します。

続発性気胸
明らかな病気(肺癌や肺気腫等)や加齢などによって、肺が脆くなることで生じる気胸です。自然気胸とは異なり高齢者に多く見られる一方、気管支喘息や肺への感染症によって乳幼児に発生するケースもあります。特に黄色ブドウ球菌が原因となる肺炎では、気胸の合併リスクが高くなります。

外傷性気胸
交通事故など、物理的に肺に穴が開く事で生じます。事故や怪我以外にも病院での検査や手術などで気胸が起こることがあります。医療行為が原因で生じた気胸は、医源性気胸と呼ばれます。

月経随伴性気胸
女性特有の気胸です。子宮内膜症は肺にも生じる事があり、肺に生じた子宮内膜症によって気胸が発生するケースがあります。

新生児の自然気胸

自然気胸は新生児にも発生する場合があり、全新生児の約1%に自然気胸が見られると言われています。肺に問題がなくても自然気胸を起こす場合があるため、注意が必要です。

新生児は、出生後すぐに自力での肺呼吸に変わります。そのため、新生児は肺がまだ硬く、最初の肺呼吸時に空気が肺に均一に行き届かない場合があります。一部に空気が集中して拡がると、肺が破れて気胸が生じてしまいます。また、人工呼吸が原因で気胸が出来るケースも見られます。

新生児に自然気胸が発生すると、多呼吸や酸素不足により手足の指先や唇などが青白くなるチアノーゼなどの症状が出てきます。しかし、肺に病気や問題がなければ、治療後再発することはあまりないのが特徴です。


<まとめ>
自然気胸は若い男性に見られることの多い病気ですが、新生児の発症も見られます。新生児においては、正常な肺でも一定の確率で自然気胸が生じると言われています。また、乳幼児においては肺感染症などの合併症として気胸を発症するため、気胸防止のために感染症への予防対策が大切です。

参考
獨協医科大学越谷病院小児外科
東京慈恵会医科大学附属柏病院


2017/06/27

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