薄毛

2017/07/20

「円形脱毛症」になる原因はなに? 治るもの?

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

「円形脱毛症」になる原因はなに? 治るもの?

「円形脱毛症」という名前は誰もが1度は耳にしたことがあるでしょう。
円形脱毛症になると、精神的なショックも大きく、ご本人にとっては切実な問題です。
一体なぜ、円形脱毛症は起こるのでしょうか?
今回は、円形脱毛症の原因や治療について詳しくご説明していきましょう。

円形脱毛症とはどういう状態?

円形脱毛症は、コインのような脱毛斑が生じる病気で、後天的な脱毛症の代表格といわれています。
一般的には、前触れとなる症状(前駆症状)や自覚症状が現れることは少ないといわれています。
ただし、なかには軽度のかゆみや違和感、淡い色の紅斑(こうはん;赤みをおびた状態)が現れる人もいます。
また、重症化すると「脱毛斑が大きくなる」「数が増える」などの症状が現れます。
そして、さらにひどくなると、まつげ、眉毛、ひげなど全身にまで脱毛斑が拡がっていくのです。

円形脱毛症のタイプ


『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010』(※)では、円形脱毛症のタイプが次のように分けられています。

その1:通常型円形脱毛症


単発型と多発型にわけられる
・単発型
脱毛斑が単発のもの
・多発型
複数の脱毛斑を認めるもの

その2:全頭脱毛症


脱毛巣が全頭部に拡大したもの

その3:汎発性脱毛症


脱毛が全身に拡大するもの

その4:蛇行状脱毛症


頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
(※引用元:『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010』 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_2.pdf

円形脱毛症の原因

 
これまで円形脱毛症は、ストレスが原因と考えられてきました。
ストレスによって働きが活発化した交感神経(自律神経のひとつ)が血管を収縮させ、毛根へ必要な栄養を運べなくなると考えられていたのです。
しかし、研究が進み、最近では毛を取り囲んでいる「毛包組織(もうほうそしき)」の自己免疫疾患と考えられるようになりました。
自己免疫疾患とは、本来身体を守るはずの免疫システムに異常が起こり、自分の身体を攻撃してしまう病気のことをいいます。円形脱毛症も、感染症の発症や疲れによる身体的・精神的なストレスがきっかけとなって、自己免疫反応が起こり、脱毛が起きるのではないかと考えられているのです。
また、円形脱毛症の患者の中には、甲状腺の病気(橋本病など)や関節リウマチといったほかの自己免疫疾患を合併している方が多くみられます。
このことも、自己免疫疾患が原因と考えられる理由です。
このように、現在ではストレスは円形脱毛症を発症させる誘因と考えられるようになってきています。
ただ、きっかけとなるような出来事がなくても発症するケースもあり、確定的な原因と言い切れないのもまた現状です。
このほか、女性の場合、出産後に円形脱毛症を発症する人もいることから、女性ホルモンとの関係も指摘されています。
また、円形脱毛症は、アトピー素因との関係も指摘されています。
これまでの研究で、円形脱毛症が重症な人ほど、アトピー素因を合併している確率が高いことがわかっています。
さらに、欧米で行われた調査によると、一親等内に円形脱毛症患者がいる場合の発症の確率は、それ以外の人に比べて10倍も高いことがわかっていて、遺伝的な要因の関連性も指摘されています。
ただ、日本では遺伝との相関関係などが示された研究はなく、今後の研究が待たれます。

円形脱毛症は治るのか


円形脱毛症が治るかどうかは、既往歴や脱毛が続いている期間によって異なります。
たとえば、アトピー性疾患や自己免疫疾患の既往歴がない場合で、それぞれの脱毛斑ができている期間が1年以内、かつ通常型円形脱毛症の場合は、およそ80%の人が1年以内に治癒したというデータがあります。
このように、脱毛班が少ない場合や、罹患期間が短い場合には、特別な治療をしなくても、自然に治ることがあります。
一方、脱毛班ができている期間が長期(3年)におよぶ場合や、自己免疫疾患などがある場合は、治癒する可能性は低いといわれています。
また、脱毛面積が広い場合(頭部の50%以上)や、小児で発症した場合には、回復率は低くなるといわれています。
このような場合には、年齢や状態に合わせた治療を行ったり、ウィッグが必要になることもあります。

円形脱毛症の治療法


円形脱毛症の治療は、年齢や脱毛している部分の面積など、患者個人の状況に合わせて治療法が選択されます。
一般的な治療法としては、ステロイドの局所注射や塗り薬が処方されます。
脱毛している部分が全身にひろがっている場合には、ステロイド内服薬が必要になることもあります。
また「局所免疫療法」という治療が行われることもあります。
局所免疫療法とは、「SADBE」や「DPCP」といった専用の薬を希釈し、それを脱毛部位に塗ることで、あえて皮膚をかぶらせ、発毛を促す方法です。
どの方法で治療を行うのかは、患者の症状だけでなく、治療によって現れる効果や副作用も踏まえて決められます。
そのため、治療中になにか症状が現れたり、困ったことがある場合には、主治医に相談するようにしましょう。
円形脱毛症は、性別や年齢に関係なく発症する病気です。
そのため、とくに若いうちに発症した場合は精神的にも大きなストレスを抱えることになります。
患者さんのストレスを軽減するためには、今後、より一層研究が進められることが求められますが、同時に円形脱毛症に対する世間の理解が広まることも必要といえるでしょう。

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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