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2017/10/05

ただのもの忘れ?認知症の始まり? 違いや特徴の見分け方

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

ただのもの忘れ?認知症の始まり? 違いや特徴の見分け方

認知症の早期発見や予防に注目が集まっています。
認知症の症状には、脳が壊れて生じる「中核症状」と、生活環境や体調が影響して起きる「行動・心理症状:BPSD」とがあります。とくに中核症状のひとつ「記憶障害」は、認知症の顕著な症状として知られています。
誰にでも起こりうる正常な「もの忘れ」と認知症特有の「病的なもの忘れ」とは、どのように違うのでしょうか。
ご一緒に詳しく見ていきましょう。

加齢による「もの忘れ」

子どもの場合は注意力や集中力が欠けていてもの忘れをする場合も多いでしょうが、注意力や集中力が一定の水準にある大人の場合、20代をピークに記憶力が減退して、もの忘れが多くなっていきます。
しかしこれは、いわば正常で生理的なもの忘れです。
たとえば、「人やモノの名前が出てこない」「メガネを置いた場所がわからなくなる」「何を食べたか忘れる」「約束をうっかり忘れる」「買い物に行って、うっかり買い忘れる」「日付や曜日を間違える」などが、よくあげられる例です。
加齢によるもの忘れの特徴は次のような点にあります。
・もの忘れを自覚していること:忘れたことはわかっている
・体験の一部を忘れる(例:食べたことは覚えているが、何を食べたかを忘れた)
・ヒントがあれば思い出す
・日常生活に大きな支障はない
・判断力は低下しない
・作り話はしない
・探し物は努力して見つけようとする
記憶には3つの局面があります。記銘(覚えること)、保持・蓄積(保存すること)、想起(思い出すこと)です。加齢によるもの忘れの場合、最後の「想起」の機能が低下するといわれています。
つまり、覚えてはいるが思い出せなくなる事態が生じます。いいかえると、ワーキングメモリーの機能低下が起こります。
ワーキングメモリーとは、思考や判断、討論や活動を行うときリアルタイムで取り出せる記憶情報の体系を指しています。

認知症の症状としての「もの忘れ」

これに対して、病的な認知症のもの忘れは、「新しいことを覚えられない」ことから始まるといわれます。
「記銘」機能が低下します。
さらに、「保持・蓄積」があいまいだったり、体験したこと全体を忘れてしまうのが典型的症状です。
その結果、「同じことを何回も聞く」「同じものを何回も買ってくる」「いつも同じ探し物をしている」「食事は済ませたのに『ご飯はまだか?』という」といったことがよく起こります。さらに、料理の手順や家電の操作の間違いなど、ものごとを進める手順を忘れることも多くなります。
これを「実行機能障害」と呼んでいます。判断や手順を忘れてしまうということです。
認知症の症状としてのもの忘れの特徴は、次のような点です。
・もの忘れを自覚できない
・体験したこと自体を忘れる
・日付や曜日、場所などがわからなくなる
・ヒントがあっても思い出せない
・日常生活に支障が出る
・判断力が著しく低下する
・つじつまを合わせるため、作り話をする
・探し物は誰かにとられたと思い込む
このように、物忘れがひどくなったり、判断・理解力が衰えたり、時間・場所がわからなくなったりといった症状が出てきたら、認知症を疑い、早期に対応することが必要となってきます。
神経内科、精神科、脳神経外科、総合診療科、もの忘れ外来といった診療科に受診するようにしましょう。
またその際、本人は自覚がないので、本人のことをよく知っている家族が同伴することが大切です。

海馬が障害される?認知症の「物忘れ」

記憶の種類には、保持が30秒くらいで、覚えてもすぐに忘れてしまう「短期記憶」と、それ以上の長さが保てる「長期記憶」とがあります。
短期記憶が長期記憶に変換されるには、脳の「海馬」が重要な役割を果たしています。ですから、認知症のもの忘れと海馬の障害との関連が研究されています。
ところで、長期記憶には次の4つが分類されています。
1.手続き記憶
運転や箸の使い方といった、身体で覚えている記憶
2.プライミング記憶
「き×く」と書くと、×を「お」と思う、「これはこうにちがいない」と判断する根拠となる記憶
3.意味記憶
一般的知識
4.エピソード記憶
思い出に相当する記憶
もの忘れがひどくなっていくと、エピソード記憶や意味記憶が想起できなくなったり、長期記憶全体が記銘できなくなるとされています。
反対に、かつて覚えた技能など身体で覚えている手続き記憶については、物忘れがひどくなったり認知症になったりしても、最も侵されにくい記憶とされています。

【参考】
株式会社エス・エム・エス 認知症ねっと『加齢による物忘れと認知症の違いは?』

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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